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えっと、背後の日記から引用。
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背後です。こんばんわ。
実は家を少し手直しするので、
今現在ネットの繋がってない借り住まいで暮らしております。
というわけでネットに繋がっているのが携帯もしくはたまに行くネットカフェという現状……。
携帯で無限をやってる方もいることは知っているのですが、
やはりパソコン越しでないと背後的には難しい様子です。
ここ数日でできるだけ試してみましたが撃沈でした。
しかも元の家に戻れるのが年末に終わればいいかなー、ぐらいの予定だそうなので、
どうやら無限の終焉にはパソコンでは立ち会えない様子です。
……すごい悔しいのですが、仕方ないですね。
携帯発言も頑張ってみますので、無限終了までどうか宜しくお願いします。
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というわけで、以前よりも速度は鈍るがよろしく、ということだそうだ。
……全く。(溜息を吐きながら)
旅団だけ参加してしまおうか……。(ぐるぐる悩み中)
家族。
ぼうっとした頭でその議題についてキスイは考えていた。半分、夢現のままで。
多分、肉親は母上一人だけ。父親は知らない。自身が列強種族ではないことから奉仕種族同士での子供だと思うが、殺されたか母と自分が捨てられたか……いずれにせよ、父親というものは知らない。
7歳の、あの届かなかった手を最後に、母上も逝ってしまわれたけれど。
逃げ延びてぼろぼろの自分達が作った集落では、友人や大人の女性もいたけれど家族ではなかった。
……盟友、と言った方がいいかもしれない。
死も生も互いに隣同士で、死なば諸共。静かな戦場と言うに相応しかったのだと今更になって思う。
集落が解散した後に厄介になった13年上の友人は、新しい家族だと言って旦那さんを紹介してくれた。その旦那さんにキスイは無礼がないように気をつけたし、また友人の家事も積極的に手伝った。
集落にしか拠り所がなく、行く当てもなかった自分にとってはそこは『置いて貰える場所』であり、決して相容れてはならない場所だった。
新婚の夫婦二人が暮らす家で、あくまで自分は部外者でしかない。
だから、一念発起して同盟の冒険者として自立し、自分だけで生きようと思った。
友人夫婦には、冒険者になった時に貰った一般人には贅沢な程の金品や品物を贈り、発つ鳥跡を濁さずの精神で礼の気持ちを贈った。
その時、旦那さんが
『そんなもの要らないから、ずっとここにいてくれ』
と言った時には一瞬ぎょっとしたが、苦笑するに留めてあの家は去った。
先日会った折に、友人から「体質の問題で子供が作れない」と聞いた時には、その時のことを後悔した。でも、やはり残っても……家族には、なれなかったと思う。
冒険者になってからのことは――まぁ、色々あったので割愛するとして。
思えば、家族という関係には縁遠かった気がする。
だから、目を腫らして泣いた日のことも何だか昔のことのような気がするし、薬指の小さな花も妙に現実味がない。
でも、冒険者になってからほとんど全てと言わんばかりに色々なことが変わった。だから多分、また何かが変わっても自分は相変わらずに立っているのだろう。
願わくばそれが、幸せな変化であることを。
と、そこまでぼんやりと考えた時点で汗で頬杖をついていた右手から顎が滑り落ちた。
目の前のテーブルに額をこれでもかと言わんばかりにぶつけ、真っ先に間抜けな姿を誰にも見られていないか確認する。家には、一応一人しかいないのだが。
だが、足元で喉を鳴らして縋る茶トラがいた。
「……見たな」
言葉がわかるのか否かは不明だが、コオウはこちらを見上げにゃあと鳴く。
コオウを抱き上げて膝の上に置くと、眠かったのか丸まってしまった。
「そういえば、お前はボクの家族だったな」
背中を撫でる手つきと、その声音がどこか夢心地のように響くのは、多分気のせいではないだろう。
適度に暖かい、そんな日の午後の話。